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WORLD

ウクライナ連帯で「米欧の欺瞞」

正義の裏側の卑しい「損得勘定」

2022年4月号

 米国や西欧諸国は、ウクライナ戦争を民主主義陣営と「専制主義との戦い」(バイデン米大統領)と位置づけ、ウクライナへの支援と連帯を強調する。だが実際には、この戦争を「対岸の火事」にとどめようとする及び腰の姿勢を隠しきれない。ロシアの暴挙を正当化する余地はないが、西側の先進国が振りかざす「正義」も、欺瞞にまみれている。
 それを露呈したのが、ウクライナへの戦闘機供与を巡る北大西洋条約機構(NATO)内の混乱だった。米国は三月、NATO同盟国のポーランドを介してウクライナ軍に戦闘機を供与する方針を示していたが、自らに火の粉がかかる恐れが出るやいなや、あっけなく撤回したのだ。
 米国はポーランドが所有するミグ29をウクライナに引き渡し、代わりにポーランドにF16戦闘機を提供する案を検討していた。ロシア軍の激しい空爆を受けるウクライナは、米国やNATOに戦闘機の提供を求めていた。自軍のパイロットが操縦に慣れているソ連機ならすぐに実戦で使える。
 ウクライナとの連帯を求める国内世論の高まりを背景に、米国は当初、この計画に前のめりだった。ブリンケン国務長官は三月六日、米・・・