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政治

新天皇と安倍の 「微妙な関係」

皇室の「反長州意識」は根深い

2019年5月号

 安倍晋三首相は即位する前の新天皇に、改元の説明や報告を口実に二月下旬から四月上旬の一カ月半の間に前後三回も会見した。
 事前公表された新元号は前天皇(上皇陛下)が政令に署名したので、新天皇に対して異例に丁寧な手順を踏んだわけだが、頻繁に顔を出せば、誰にでも公平に接する皇族といえども憎からず思うのが自然の情というものである。
 新元号が閣議決定された四月一日、報告を聞いた新旧天皇の様子に関する宮内庁発表は、前天皇が「いつものような表情でお聞き届けになった」のに対し、新天皇は「分かりましたとおっしゃった。にこやかな表情でした」と好対照だった。新天皇の上機嫌がうかがえる。早速、首相周辺から
「総理は新天皇には得意感がある。会えばとてもにこやかに接してくれるとうれしそうだよ」
 という安堵の声が漏れている。改憲派と護憲派の緊張から、苦手意識のあった前天皇と交代してくれてよかったと胸をなで下ろしているのが本音だろう。それどころか、新天皇には多少の無理も聞いてもらおうと、持ち前の図々しさが早くも全面解禁された。

早くもあからさまな政治利用・・・