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中国「ゼロコロナ政策」の自縄自縛

国家停滞で揺れる習近平体制

2022年4月号

 コロナ感染の起源国でありながら、国民の行動制限、都市封鎖など「ゼロコロナ政策」によって力で蔓延を抑え込んできた中国が重大な岐路にさしかかった。米欧や日本など主要国が六次にわたる感染の波を乗り越え、社会生活と経済活動の正常化に向かい始める一方、中国はゼロコロナ政策解除のきっかけがないまま、感染が再拡大し、深圳、長春など大都市が一時、ロックダウンされたからだ。一次産品インフレとロシアのウクライナ侵攻による世界的な景気悪化のなか、ゼロコロナ政策がさらに長期化すれば経済の下降は続く。この秋の共産党大会の開催すら危ぶむ声も出始めた。
 毎年、中国国民は全国人民代表大会の閉幕とともに春の到来を実感する。だが、今年は閉幕するやコロナ感染が「武漢以来の危機」に突入した。吉林省で感染者が急増し、省都の長春がロックダウンを宣言。中国経済の牽引役である広東省でも感染が爆発、深圳が同じくロックダウンに追い込まれ、上海でも感染者が急増したからだ。三月末で約五千万人が封鎖状態に置かれた。
「春節(旧正月)が最大の難所」。中国政府関係者は、今年は一月末から二月中旬まで続く春節休暇にコロナ封じ込・・・