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経済

《企業研究》SMBC日興証券

前代未聞の事件の深層

2022年4月号

「ガサ入れ」は日を跨いで、翌朝まで続いたという。
 専務執行役員を含む幹部ら四人が金融商品取引法違反(相場操縦)の疑いで逮捕されるという「前代未聞の事件」(金融関係者)を引き起こした、証券大手のSMBC日興証券。逮捕当日の三月四日夜には東京・丸の内の同社本店にも東京地検特捜部の家宅捜索が入り、五日朝までかけて捜査員らが大量の資料を押収していった。
「今後、デジタルフォレンジック調査で取引先や社内でのメールのやり取りなども徹底的に洗われるハズ。思わぬ“余罪”が炙り出される可能性もあるのでは」。SMBC日興の親会社、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)関係者の一人はこう不安を口にする。
 相場操縦と言えば専ら仕手筋の手口だ。投機的な売買を繰り返し、意図的に株価を吊り上げる。大手証券関係者が同容疑で責任を問われること自体、極めて異例。特捜部は人為的な株価操作が業務時間中に取引の一環として繰り返されていたことを問題視。証券取引等監視委員会(SESC)の告発を受けて、三月二十四日には法人としてのSMBC日興と、先の四人に加えた幹部ら計五・・・