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経済

《地方金融の研究》宮崎太陽銀行

「奉加帳増資」の苦しい内情

2022年4月号

 果たして「優越的地位の濫用」のごとき振る舞いは微塵もなかったのか。宮崎市に本店を置く第二地銀、宮崎太陽銀行が三月三十一日付で「奉加帳増資」に踏み切った。域内トップ地銀の宮崎銀行や取引先など三十六社に対し一株当たり一万円で優先株を割り当て、総額六十億円を調達する。
「引受先はいずれも従前から当行の事業や財務の状況を十分理解して頂いている方々。今回の増資の趣旨も了解して頂き協力が得られた」。宮崎太陽銀幹部の一人はこう説明するが、十億円を引き受けて最大の資金の出し手となった宮崎銀に次ぐ割当先の地元養鶏業者、児湯食鳥(児湯郡)と建材リースの平和リース(宮崎市)はいずれも宮崎太陽銀の大口融資先の一つだ(各々五億円を引き受け)。
 また三番手として各三億円ずつを拠出した住宅関連事業のマエムラ(宮崎市)、宮崎瓦斯(同)や米良電機産業(同)も同行からの借入金を抱えている。先々の円滑な資金繰りや資金収支の安定化などを考えると、出資要請を撥ねつけ難い状況といえる。
 それにしても六十億円とは吹っ掛けたものである。宮崎太陽銀は福岡証券取引所単独上場だが、時価総額は足元五十億円・・・