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経済

飯田グループ「ロシア事業」の憂鬱

六百億円では済まぬ「損失」

2022年6月号

 二つの誤算があったのではないか―というのが市場関係者らの見立てだ。一つはロシアがウクライナに侵攻するハズがないという過信。そしてもう一つが仮に武力衝突が起こったとしても、両者の軍事力格差からみて紛争は短期間で収束するという楽観だ。だがプーチンの野望とウクライナの徹底抗戦の前に過信と楽観は呆気なく粉砕された。
 分譲住宅国内最大手、飯田グループホールディングス(GHD)がロシアショックに揺れている。ロシア企業を買収した直後に対ウクライナ侵攻が勃発。これに対する欧米諸国や日本による制裁措置の発動もあってロシア事業が身動きのとれない状態に陥っているのだ。
 飯田GHDがロシア最大級の林産企業、ロシア・フォレスト・プロダクツ(RFP)グループの買収に踏み切ったのは今年一月のこと。RFPの株式を保有していた投資会社から所有株の大半を買い取るとともに割当増資を引き受ける形で総額五・二五億ドル(当時の為替レートで約六百億円)を投じて発行株の七五%を取得、子会社化した。
 RFPはロシア東部のハバロフスクを拠点に、保有林区面積約四百万ヘクタール。九州全土を上回るほどの規・・・