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政治

《罪深きはこの官僚》秡川直也 (観光庁次長)

「日野燃費不正」 泥沼化を助長

2022年9月号

「国土交通省は舐められていた」
 某自動車メーカー関係者はこう指摘する。八月二日、外部有識者からなる日野自動車の特別調査委員会は、燃費・排出ガスに関する新たな不正についての調査結果を報告した。同社は今年三月、エンジン試験に不正があったことを公表している。そこから約五カ月で不正をしていた対象車種が拡大したのだから、当時行われた国土交通省による立ち入り検査が甘かったという謗りは免れない。責めを負うべきは当時の自動車局長、秡川直也である。
 国交省は三月に立ち入りした際、不正のあった四種類のエンジンを積んだ全車種について道路運送車両法に基づく「型式指定取り消し」という処分を下した。当該車種の出荷が事実上、不可能になる重い処分だった。
 しかし三月の時点で日野は、「不正は二〇一六年から始まった」と説明していた。この年は、三菱自動車とスズキで燃費に関する検査不正が相次いで発覚した。国交省は当時、自動車メーカー各社に対して「不正があれば申し出るように」と通達し、日野はその際に「ない」と申告している。結果的にはこれも虚偽だったのだが、問題はそこではない。
 日・・・