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連載

日本の科学アラカルト 145

運動機能回復をサポート 「腱と靭帯」の研究

2022年9月号

 人間をはじめとする骨格動物が動く原動力は筋肉だ。しかし筋肉の力を骨に伝えられなければ、動くこともままならない。筋肉と骨を繋ぐ硬い組織を「腱」と呼ぶ。そして、骨同士は滑らかに曲げることができる一方で、離れ離れにならないようにやはり硬いモノで結ばれている。「靭帯」と呼ばれるこの組織もまた極めて重要だ。いずれも関節近傍にあり、伸縮性があまりないという共通点がある。
 アスリートが腱や靭帯を損傷すると治療には時間がかかる。また、大きく損傷した場合には元通りに戻らないケースも出てくる。アスリートだけでなく、加齢にともなう損傷などもあり、治療法は古くから研究されてきた。
 今年八月、東京大学大学院医学系研究科のグループは、腱や靭帯の修復メカニズムに関する新たな発見について発表した。
 腱や靭帯を損傷した場合、その程度にもよるが、時間をおけば細胞が修復される。「自然治癒」と呼ぶべきものだが、実はすんなりとはいかないケースがあるのだ。修復過程でなぜか骨や軟骨のような組織が生じてしまい、当然のことながら本来の機能が損なわれてしまう。なぜこのようなことが起きるのか。
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