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「台湾戦争」は避けられない

中国が強行するアジアの「現状破壊」

2022年9月号特別リポート

 中国が東アジアの安全保障を極めて危険な水準にまで押しやっている。ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問に対して、中国は「戦争間近」を思わせるような台湾包囲を敢行した。
 習近平国家主席が自ら指揮する、新たな強硬政策は、専門家の間で「第四次台湾海峡危機」と呼ばれている。脅かされているのは台湾ばかりではない。中国は、アジアの現状の国境や勢力圏を、力と威嚇によって、自分たちに有利なように書き換えようと、関係各国に迫っている。
 すでに日本の尖閣諸島(沖縄県石垣市)に対しては、日本の国有化(二〇一二年)から数えても十年ごしで中国の「領有権」をゴリ押しし、ヒマラヤではインドとの間で一九六〇年代に合意された「実効支配線」を、中国側に有利な形で移動させようとしている。アジア全域で進む強引な現状変更政策は、関係国との軍事衝突に直結する危険をはらんでいる。

「常態」を塗り替えた中国軍演習

 今年の八月二十三日は、世界中の軍・治安当局が警戒を最大級に高めた日だった。
 ロシアが二月二十四日にウクライ・・・