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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》統一教会と警察

カルト教団「野放し」の闇

2022年9月号

 警察はなぜ、反社会的な行動を続ける宗教団体の取り締まりに及び腰だったのか。旧統一教会をめぐる「闇」に目を凝らすと、巨悪にひるんだとか、陰謀に絡め取られたというのではなく、不必要に仕事を増やすことや、政治との関係での面倒を避ける心理が浮かび上がる。「闇」は人間や組織のエゴが生んだものだからこそ、その弱さに乗じて社会を覆い尽くし、容易に振り払うことができない。
 群衆の前で安倍晋三元首相が射殺されてから二カ月。犯人の罪を問う声は、犯人の人生が旧統一教会によって滅茶苦茶にされた経緯が明らかになるにつれ、霊感商法や高額な献金強要で多くの被害者を生んだ反社会的集団の資金力や、選挙で信者を動員できる組織力に群がっていた政治家に対する批判にとって代わられた。それは、この教会を放置してきた警察に対する不信にもつながった。
 脇の甘い警備で安倍元首相を守れず、二重の意味で信頼回復が急務のはずの警察当局には、旧統一教会の反社会的な活動の取り締まり強化で汚名返上しようとする気配もない。「刑事事件として摘発できる案件が見当たらない」(警察幹部)からだという。この言い訳には、現在の状況が警・・・