三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

《日本のサンクチュアリ》警察庁警備局

「安倍銃殺」の根本的原因

2022年8月号

 戦後初めて首相経験者が犠牲となった安倍晋三氏殺害事件の四日後、警察庁の中村格長官は臨時の記者会見に臨んだ。「警察として要人警護・警備の責任を果たせなかったものとして極めて重く受け止めております。慚愧に堪えません。結果を踏まえれば現場の対応のみならず、警察庁の関与のあり方にも問題があった。警察庁長官としての責任は誠に重い。今果たすべき責任は、検証と見直しの作業に全身全霊を向けること」。
 長官が個別の事件直後に警察の失態を公言し、自らの責任まで認めるのは異例だ。「中村氏の父親は元福岡県警公安刑事。事の重大さを深刻に痛感している」(警察関係者)。その後、岸田文雄首相も「警備態勢に問題があった」と明言。八月中に事件の検証結果と国家公安委員会の処分が出た後、引責辞任するのは既定方針で、元警察庁長官の栗生俊一内閣官房副長官も了承済みとされる。結果の重大性から、SP(セキュリティーポリス・要人警護員)を派遣した警視庁の大石吉彦警視総監、警察庁の櫻澤健一警備局長らも処分を受ける可能性が高い。
 検証作業は、後任の長官就任が有力視される露木康浩警察庁次長をトップに、検証班と見直し・・・