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経済

アンジェスが貪った「巨額血税」

コロナワクチン「開発失敗」の裏側

2022年10月号

「皆様方のご期待に応えることができず、今回このような発表をすることになりましたこと、誠に申し訳ございません」。今年九月七日の記者会見―山田英社長はこう謝罪してうなだれた。
 新型コロナウイルスの予防ワクチン開発を中止すると発表した、大阪大学発の創薬ベンチャー、アンジェス。臨床試験データの中間解析などの結果、米ファイザーやモデルナ製など、現在普及している「m(メッセンジャー)RNAワクチンの有効性を上回るのは厳しいと判断」(山田社長)。打ち切りを決めたという。
 アンジェスのワクチン開発には日本医療研究開発機構(AMED)の創薬支援推進事業や厚生労働省による「ワクチン生産体制等緊急整備事業」などを通じてこれまでに約七十四・五億円にものぼる国費が補助金として投じられてきた。今回の開発中止でこれも「まったくの無駄ダマ」(厚労省筋)に終わる形となる。
 もっとも市場関係者らから漏れてくるのは怒りでもなければ落胆でもない。「やっぱり」「またか」といった半ば呆れと諦めを伴ったタメ息だ。二〇〇二年九月に東証マザーズ(当時)に上場して以降のアンジェスの変遷は「投資家の期待・・・

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