三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

警察が野放しにする「準暴力団」

ヤクザ弱体化で凶悪犯罪の主役に

2022年12月号

 暴力団対策法の施行から三十年が経過し暴力団の弱体化と高齢化が進む一方で、「半グレ」と呼ばれる反社会的勢力が深刻な治安の脅威になりつつある。かつては暴力団と一般人の中間的な存在とみられていたが、暴対法の規制対象外という「警戒の空白地帯」で勢力を拡大し、日本の闇社会に地殻変動を起こしている。
 警察当局はこれらの集団を「準暴力団」と位置づけ、実態把握と取り締まりを続けている。ただ、仲間内のネットワークやSNSを駆使しながらアメーバのように離合集散を繰り返す集団は、メンバー同士の緩い結びつきや組織性のあいまいさが特徴で、その全体像はとらえどころがない。 
 準暴力団とはなにか。警察庁は「明確な組織構造は有しないが、犯罪組織との密接な関係がうかがわれるもの」などと位置付けるが、その定義はあまりにあいまいだ。警察関係者は「ピラミッド型の権力構造を敷き、絶対服従の上下関係と組員の強固な結束で組織を支える暴力団とは全く性格が異なる」と指摘する。
 暴走族OBや地下格闘技団体元選手らが中核とされ、メンバーには二十~四十代の若者が多い。仲間同士の横のつながりを重・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます