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経済

《クローズ・アップ》五十嵐 博(電通グループ社長)

犯罪まみれ「黒い五輪」の責任者

2022年12月号

 一連の「東京五輪疑惑」が、電通にとって新たな局面に入った。
十一月二十五日、東京地検特捜部と公正取引委員会は、電通本社に家宅捜索に入った。五輪のテスト大会運営に絡む談合疑惑だ。
「これで、電通は『知らぬ存ぜぬ』ができなくなった」
 広告業界関係者はこう指摘する。
 電通の元専務で、大会組織委の元理事だった高橋治之によるスポンサー選定にかかわる汚職事件では、同社はまるで被害者であるかのように振る舞った。「高橋が勝手にやったこと」という立場を貫き、捜査に協力してきたのだ。
 しかし談合疑惑については、言い逃れできないだろう。談合が、仮に高橋の指示によって行われていたとしても、不正な価格調整などについて電通側がある程度把握していないと入札に参加できない。 今回の家宅捜索は、電通本社とイベント会社、五輪組織委の元幹部の自宅に対して行われた。談合疑惑の渦中にあるのは約十社の広告代理店だ。「通常、談合などの家宅捜索は容疑対象に一斉で行われることが多い」(社会部記者)。限られた場所に対してガサ入れする理由として考えられるのは、「主犯」が明確な場合。・・・

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