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社会・文化

「自民族優越主義」が日本を滅ぼす

杉本 良夫(社会学者)

2022年12月号

 ―「日本人」というのは、どう定義されますか。

 杉本 それは様々な要素がからむので、決定するのは容易ではない。たとえば海外で生活してきた日本語が十分ではない帰国子女がいる。一方で日本語を自在に操り、ずっと日本に住んできた在日コリアンもいる。どちらの「日本性」が強いかを比べると、なかなか難しい。国籍、血統、言語能力などの要素を厳格に当てはめようとするのが現在の多くの日本人の発想だ。これは同化主義につながりかねない。一方で広く日本人を定義することも可能だ。「日本人とは何者か」という問いの答えは、本来、柔軟に変化するものだと考える。「君が代」を歌うラグビー日本代表の選手たちは、広い意味で全員日本人ではないのか。

 ―海外からみると日本人は排外的なのでしょうか。

 杉本 問題は差別的な考え方だろう。日本は、入国を望む難民などに対して、長年厳しく対応してきた。しかし今回のウクライナ戦争では、避難民を喜んで受け入れた。これまでのアジアや中東の人々への態度とは対照的・・・

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