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経済

《企業研究》NHK

「放漫経営」の重い代償

2023年1月号

「まだ改革は道半ば」。記者会見などでかねてこう漏らしては「続投」への強い意欲を滲ませてきた男が退任に追い込まれた。日本放送協会(NHK)会長の前田晃伸氏のことだ。みずほフィナンシャルグループ(FG)の社長・会長や国家公安委員などを経て二〇二〇年一月NHK会長職に就いたが、二三年一月二十四日、在任一期三年でそのポストを明け渡す。
 後任に指名されたのは稲葉延雄氏。一九七四年に日本銀行に入行し、システム情報局長や考査局長を務め、二〇〇四~〇八年まで理事として金融政策などを担当。退職後はリコーに転じ、専務執行役員や取締役会議長などを歴任して同社の「企業統治改革に辣腕を振るった」(リコー関係者)とされる。齢七十二。「日銀」という堅いイメージとは裏腹に歯に衣着せぬ物言いで、必要とあれば「時に型破りな手段を取ることも厭わない」(日銀OB)性格。周囲に煙たがられても筋を通す、「一本気なところもある」(同前)らしい。
 NHKの最高意思決定機関で、十二人のメンバーで構成される経営委員会が「指名部会」を設けて次期会長選びに着手したのは二二年七月。まずは「続投」も視野に三年間の&ldq・・・

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