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経済

関西電力「カルテル事件」の策謀

電事連「次期会長」を狙う破廉恥

2023年1月号

 産業界最大の圧力団体の“終わりの始まり”かもしれない。関西電力に対する同業他社の憤怒はすさまじい。
「まさか“事前リニエンシー”とは思わなかった。裏切りにも節度があるだろ!」
 関西・中部・九州・中国の電力四社のカルテル疑惑―。公正取引委員会による二〇二一年四月と七月の立ち入り検査以来、ほぼ一年半に及んだ調査の結果は、総額一千億円超と過去最高額の課徴金の納付命令となった。内訳は中国電力が最も巨額の七百七億円、中部電力は二百七十五億円、九州電力は二十七億円だが、関電には一円も科されていない。
 この一年半、関電が「独占禁止法」の課徴金減免(リニエンシー)制度に基づき、積極的に公取委の調査に協力していたことは分かっていた。が、立ち入り検査の密告者は謎のままだったのだ。当時、販売部門から慣例破りの昇格を果たした中部電社長・林欣吾を貶める不満分子の仕業か、あるいは電力会社を不倶戴天の敵とする当時の規制改革担当相・河野太郎に近い新電力の策略か……、臆測はさまざまに乱れ飛んだが、密告者は実に・・・

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