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経済

三井住友「トヨタ偏重」の危うさ

豊田家寵愛「新頭取」が撒いた火種

2023年3月号

 三井住友銀行(SMBC)で異例ずくめの頭取が四月一日に誕生する。福留朗裕新頭取を語る上で、奇しくも同じ日に新社長体制がスタートするトヨタ自動車との関係を無視することはできない。トヨタの変化やメガバンク同士のつばぜり合い、銀行内部の都合が複雑に絡み合った結果、頭取に祭り上げられた福留氏には茨の道が待ち受ける。
「海外経験の豊富さなんていう理由は、眉に唾したほうがいい」
 三井住友フィナンシャルグループ(FG)の幹部はこう解説する。「国際畑の人間は、評価はされるが頭取レースでは不利だ」(同幹部)という。
 現在の頭取である髙島誠氏も海外畑の出身だが、同氏は旧住友銀行出身者。これまでの経緯を考えれば「旧三井銀出身」「海外部門」というマイナスポイントを持つ福留氏の昇格は「ありえないことだった」(業界紙記者)。「為替などの部門で働いていたのは知っているが印象は薄い」とは旧三井銀出身のSMBC関係者の福留評だ。旧三井組の中でさえ特に目立つ存在ではなかったことが窺える。福留氏の頭取昇格ありきで話が進められ、国際経験という理由は後付け―、だとしたら人選の本当の理由はなに・・・

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