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イラン「包囲網」は一段と強固に

中東緊張緩和「大嘘」の裏側

2023年5月号

 サウジアラビアとイランの国交正常化合意が発表されて以来、対立から一変し、両国には友好的なムードが漂いつつある。
 四月十八日、サウジのファイサル外相は、イランの対外活動の拠点でもあったシリアを訪れ、アサド大統領と会談した。
 これまでの対立が嘘だったかのような奇妙な歩み寄りを見せている中東地域―。だが、サウジの政府関係者は、「ムハンマド皇太子は(改革プランの)ビジョン2030の成功に焦点を当てて、地域の安定を目指している。ただ、思想や教義も違う現在のイランと恒久的に友好関係が保てるとは誰も考えてはいない」と冷めた調子で語る。あくまでも、経済改革が軌道に乗るまでの時間稼ぎに過ぎないようだ。
 イランは、昨年九月にスカーフの着用をめぐって女性が死亡した事件以来、国内各地で大規模なデモが続き、政権存続が危ぶまれている。
 関係筋の話では、これまで強気の発言を崩さなかったイラン国内の保守強硬派や革命防衛隊もサウジや近隣ライバル国との一時的な融和はやむを得ないとの見解を示している。
 ただ、ここまで劇的に弱体化しているイランを周辺のライバル国が・・・

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