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経済

大成建設「施工不正」は組織ぐるみ

欠陥工事「常習」の社風

2023年6月号

「最新の技術と工法を駆使して現代版『ピサの斜塔』でも建てるつもりだったんじゃないの」。ゼネコン関係者らの間ではこんな皮肉も飛び交う。
 札幌市で建設中のビルで鉄骨の傾きやコンクリートの厚さ不足といった施工不良が発覚した大成建設。工事はプロジェクト全体の「約二三%まで進んでいた」(大成幹部)とされるが、大半を解体・撤去して建て直す。当初、二〇二四年二月の完成予定だった工期は二年四カ月先送りされ、二六年六月末にずれ込む。大成ではこれに伴い生じる追加費用や発注元への遅延損害補償金を現時点で約二百四十億円と算定。二三年三月期決算で工事損失引当金として原価計上し、三期連続の最終減益に陥った。
 だが果たして被る損失はこの程度の金額で済むのか。大成より一足早く、二二年三月期に東京・港区の案件で施工トラブルに見舞われた三井住友建設では、当初二百十九億円としていた関連損失が日を追うごとに増大。二三年四月には累計五百三十二億円にまで膨らんだ。何より失った信用・信頼とレピュテーション(評判)は限りなく大きい。「今後の受注活動に暗い影を落とす」(国土交通省関係者)のは必至だ。
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