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経済

杜撰極まる「議決権行使助言会社」

寡占二社が市場と企業を「翻弄」

2023年6月号

「ISSとグラスルイスは株式市場を事実上支配している」。今年一月、米テスラのイーロン・マスクCEOはこのようにツイッターで議決権行使助言会社である大手二社を痛烈に批判した。背景には、米国で年々高まる議決権行使助言会社の影響力がある。こうした状況は日本においても同様だ。だが、その影響力の大きさに比して、近年、お粗末な実態が次々と浮き彫りになっている。事実確認が杜撰であり、透明性にも著しく欠けているのだ。同時に機関投資家の問題も浮かび上がる。
 議決権行使助言会社とは、近年存在感が増している機関投資家に対し、議決権行使に関して「賛成」「反対」の推奨を行う会社だ。日本を含む各国では米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)とグラスルイスの二社の寡占状態にある。
 冒頭のテスラは、数年前から経営陣と助言会社の間で対立が続いている。マスク氏のツイートは、こうした状況に対する不満を反映したものだろう。時価総額五千億ドルを上回り、今や世界有数の大企業となった同社だが、その経営体制を左右し得るほどの強大な影響力を両社は有しているのである。
 日本で・・・

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