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経済

投資信託業界 「利益相反」の宿痾

顧客「喰い物」を放置する金融庁

2023年6月号

 株式市場が久方ぶりの活況を呈している。外国人投資家による日本株への見直し買いがその背後にあると言う。その契機にもなったと言われているのが、岸田文雄首相が四月二十六日、経済財政諮問会議で打ち上げた「資産運用業の抜本的改革」だった。その眼目は投資信託の運用にほかならない。動きの背後には顧客本位とは程遠い投信運用の現状に怒る金融庁の存在があった。首相の大号令は、業界に大ナタが振るわれる改革が迫っていることと繋がっている。
 岸田発言により金融業界のなかで主流とはみなされてこなかった資産運用業は一挙に注目度が増した。しかし、業界関係者は語る。「とにかく、巡り合わせが悪すぎた」。それは首相の方針発表と、ほぼ同じタイミングとなった投信分野の自主規制団体、投資信託協会の会長人事を指す。この人事こそ、金融庁の怒りの源泉ともいえる投信独特の構造問題を集約したような慣行で行われてきたからだ。
 金融庁がかねて問題視してきた投信領域の構造問題とは、主要な投信運用会社が、証券会社など投信販売会社の子会社という系列形態である。その形態の下では、トップマネジメントが親会社である販売会社から送・・・

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