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政治

岸田文雄「妄想総理」の恐ろしさ

《政界スキャン》

2023年8月号

 安倍晋三元首相の一周忌で、岸田文雄首相が安倍を「ライバルだった」と言った。法要の後、安倍昭恵さんや自民党安倍派議員ら約三百人が参加した非公開の食事会で、こうあいさつしたという。
「当選同期は時としてライバル、時として愚痴を言う相手で、常に相手を意識し、そして不思議な連帯感で結ばれた仲間でした」
 岸田は安倍の三歳年下で初当選同期。共に世襲のよしみもあったとはいえ、派閥はタカ派とハト派で交わらず、出世は安倍が格段に早かった。岸田は安倍から外相や党政調会長に引き立てられ、忠実に仕えはしても、対等のライバルだったことはない。総裁選で戦ったこともない。
 二〇一八年総裁選のてんまつは、安倍・岸田関係を象徴的に表した。党規約改定で三期目をめざす安倍に対し、岸田派内の主戦論に押されて出馬を迷った岸田は、あろうことか自らの出処進退を相談する。二人きりの会食で開口一番切り出した。「私はどうしたらいいのでしょうか」。岸田文雄とは何者かを、これ以上ないほど端的に表した言葉である。安倍が強気に出たのは言うまでもない。「総裁選に出るなら、今後は私の内閣で処遇できないよ」。{br・・・

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