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政治

《罪深きはこの官僚》茂木 正(経済産業省商務・サービス審議官)

関西万博 「建設立ち往生」の無能

2023年8月号

「このままじゃ“万国博”ではなく、“数カ国博”になりかねない」
 国土交通省の大阪・関西万博の担当者はこう危惧する。七月に入り、日本国際博覧会協会が各国のパビリオンについて、「建設を肩代わりする提案を行っている」と報道された。申請段階で独自のパビリオン建設を計画していたのは約五十カ国。しかし、二〇二五年四月の開幕まで二年を切った現時点で、建設申請を行っている国はゼロなのだ。協会の提案は、建設が間に合わなくなることへの焦りから出たものだ。しかし―。
 独自パビリオンを出展する国は、大阪市への建設申請の前に、基本設計書を協会に提出する必要がある。昨年中に終わっているべき手続きだが、提出したのは九カ国だけ。八割以上の国が、建設以前の段階でストップしていたのだ。建設費の高騰などが背景にあるとみられるが、最大の問題はこれを経済産業省が放置してきた点だろう。
 博覧会協会の事務総長を務めているのは、経産省OBの石毛博行だ。国交省や外務省も万博には関与するが、政府の司令塔は経産省である。同省別館九階のフロアには博覧会推進室・・・

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