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経済

大学病院「コロナ特需」の最終章

本誌独自調査「税金泥棒」の実態

2023年9月号

 コロナ患者の病床を確保するという名目で、医療機関に巨額の補助金、つまり血税が投じられた。会計検査院によると、二〇二〇~二一年度だけで、三千四百八十三の医療機関に対し、三兆三千八百四十八億円がつぎ込まれた。しかし、カネはもらったが、きちんと患者を受け入れない、「幽霊病床」が社会問題化した。重症患者の受け入れの中心的役割を担ったのは大学病院だ。本誌がその経営を調べてみると、この詐欺的やり口による焼け太りの実態と、名門医大の凋落ぶりが浮かび上がった。
 本誌は最近公開された二二年度の最新の財務諸表を用いて分析した。対象はコロナ流行により、病床逼迫が深刻だった首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)と関西圏(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)の私立大学病院だ。国公立大学病院や防衛医科大学校病院は除外した。文部科学省や防衛省、自治体から、様々な名目で補助金が支払われ、空床補償を中心としたコロナ補助金の推移を評価しにくいからだ。調査対象は二十大学で、五十八の附属病院を経営している。本稿の執筆時点で、埼玉医大は二二年度の財務諸表を公開しておらず、除外した。
 残る十九大学が二二・・・

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