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プーチンが傾く「スターリンの模倣」

衰退ロシア「恐怖支配」のこの先

2023年11月号

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、ソ連の独裁者ヨシフ・スターリンへの傾斜を強めている。プーチン体制全体が旧ソ連時代のような独裁、強権色を強めているばかりか、自身が指揮するウクライナ侵攻と、第二次世界大戦時のスターリンの戦争指揮を重ね合わせて、目下の苦境を乗り切ろうとしている。
 仮にウクライナでの戦争が何らかの形で終わったとしても、「プーチン独裁」の体制が当面継続するのは確実で、プーチン体制は今後、内政外交両面で「スターリン色」を一層強めることになりそうだ。
 プーチン大統領の歴史観・世界観を余すところなく示したのは、今年導入されたロシアの高等教育用の歴史教科書だ。
『一九四五年から二十一世紀初頭までのロシア史』と題された教科書の最大の特徴は、戦後のスターリン体制を非常に肯定的に紹介している点だ。
 しかもこの歴史教科書は唯一、ロシアの教育現場で使用が許されたものだ。筆者のウラジーミル・メジンスキー氏は、二〇一〇年代に文化相を務めた。プーチン大統領の側近の一人だが、歴史学者ではなく、著述家でもない。
 同氏は政治学と歴史学で博士・・・

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