今年十一月の米大統領選で政権奪還を目指すドナルド・トランプが、「ぜひ力を貸して欲しい」と頭を下げたという伝説の女性である。米国で三番目に人口が多いフロリダ州を拠点に、長らく選挙のプロとして活動してきた。
　トランプが二〇一六年に、大方の事前予想を覆してヒラリー・クリントン民主党候補を破った時、決め手となったのはフロリダ州だった。ここでは民主党が大統領選で二連勝中だった。事前予測は「接戦」または「クリントンが優位」だったが、トランプが一・一九ポイント差で勝利した。これが一六年の大番狂わせをもたらした。
　五月で六十七歳になるワイルズは、この選挙前まで全国的には無名の存在だった。フロリダ州北部のジャクソンビルで長年、地元政治家の選挙を助けていた。彼女が助けた候補は高い勝率を残した。
　一〇年のフロリダ州知事選では、政治経験がなく知名度も低いベンチャー・キャピタリスト、リック・スコットの選挙参謀になった。
　世論調査では当初、支持率三〇％台と低迷していたが、ワイルズの指揮の下、次第に盛り返した。スコットは知事選で、一・一五ポイントの僅差で勝利した。こ・・・