国際刑事裁判所と米国の「確執」
問われる存在意義と「正当性」
2025年5月号
「ICC(国際刑事裁判所)では最近、ワード文書が使えないらしい」。日本政府内で最近、こんな情報が流れている。原因は、トランプ米大統領が2月6日に署名した、ICCを制裁する大統領令だ。「米国と親密な同盟国のイスラエルを標的にした非合法で根拠のない行動」を非難し、付属文書でICCのカリム・カーン主任検察官の米国内の資産を凍結し、米国への入国を禁じる制裁を科した。カーン氏は昨年5月、パレスチナ自治区ガザでの戦闘を巡りイスラエルのネタニヤフ首相らに戦争犯罪などの容疑で逮捕状を請求した。
米大統領令は、米国やイスラエルなど同盟国の国民に対するICCの捜査に協力する個人とその家族の経済活動やビザ(査証)発給などに制限を課すとした。日本外務省幹部は「今のところ、制裁対象はカーンだけ。でも、ICC検察部門トップのカーンが目を通す文書に関係する人は大勢いる。米マイクロソフトが米政府のセカンダリーボイコットを恐れて、ICCに対するワードソフトのサービスを停止したという噂を聞いた」と語る。実際、カーン氏が保有する南アフリカの銀行口座が凍結されたという報道も流れた。海外送金では、銀行など金融機関同・・・
米大統領令は、米国やイスラエルなど同盟国の国民に対するICCの捜査に協力する個人とその家族の経済活動やビザ(査証)発給などに制限を課すとした。日本外務省幹部は「今のところ、制裁対象はカーンだけ。でも、ICC検察部門トップのカーンが目を通す文書に関係する人は大勢いる。米マイクロソフトが米政府のセカンダリーボイコットを恐れて、ICCに対するワードソフトのサービスを停止したという噂を聞いた」と語る。実際、カーン氏が保有する南アフリカの銀行口座が凍結されたという報道も流れた。海外送金では、銀行など金融機関同・・・