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社会・文化

「民間放送連盟」はもう要らない

自浄能力なきテレビ界の象徴

2025年5月号

 他人からとやかく言われる前に自ら律する姿勢を示すことで自主独立は守られる。どんな新興分野でも業界団体が設立されるのは、行政に対する結束した影響力を持ち、公権力の介入を招かない自浄能力を保つ目的からだ。1951年発足の老舗、日本民間放送連盟(民放連)がこの目的を見失った理由は、老害などもあって衰退局面からの転換を逸した民放キー局のリーダーシップの欠如にある。
 フジテレビの元アナウンサーの女性が在職中、人気タレントだった中居正広から性暴力を受けたと第三者委員会で認定された事案をめぐっては、同社の対応だけでなく民放連にも、地方のテレビ局を中心に「完全な機能不全だ。このままでは業界全体が瓦解する」(地方局幹部)と怒りが爆発した。
 民放連を構成する会員207社の多くは地方局で、会長は歴代、在京キー局首脳が務めてきた。元フジテレビ社長で長年フジサンケイグループの最高権力者として君臨した日枝久も名を連ねている。実権を握る中央が業界最大の危機に、驚くほどの能天気ぶりに地方局は危機感を募らせる。
 例えば、今年3月31日に第三者委員会の報告書を受けた民放連会長の遠藤龍・・・

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