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経済

野村證券「創立百周年」の異常事態

「役員専横」に湧き上がる非難

2025年9月号

 2025年3月期、純利益で19年ぶりに過去最高益を更新した野村ホールディングス(HD)。今年12月の「創立百周年」を前に、「ガリバーの復活」の声が飛び交う。だがかつて中核子会社、野村證券の金融業界での圧倒的な存在感から生まれたこの異名は今や「収益力の高さ」よりも「業界で突出した役員報酬の高さ」を示すものになった。その超高額報酬を株主総会直前に株主に「チラ見せ」するような開示プロセスも投資家からの不信感を呼んでいる。

株主を欺く狡猾さ

 同社関係者は「役員報酬は業績連動で伸びた」と説明する。だが急増ぶりには野村関係者でも息をのんだ。野村證券社長(グループCEO)、奥田健太郎氏の役員報酬額は実に12億790万円にのぼる。同氏の報酬額は前年比で約2・4倍となった。
 上場企業では1億円以上の役員報酬は開示が義務付けられている。東京商工リサーチの調査によると、25年3月期決算企業で1億円以上の役員報酬を支払った上場企業は357社。その中には、わが国を代表する巨大銀行グループである3メガバンクも入るが、社長・・・

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