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インドネシア「政情不安」の末路

「有望国」の転落と経済困窮

2025年10月号

 インドネシアでプラボウォ政権に対する反発が広がり、大規模な暴動に発展した。いったんは収束したものの、マクロ経済の指標では見えない部分で足元の雇用環境や経済状況は悪化しており、庶民の怒りの火種はくすぶったまま。プラボウォの義理の父親であるスハルト元大統領の退陣につながった「ジャカルタ暴動」の再燃を懸念する声も上がっている。

失政で広がる格差

 インドネシアの首都ジャカルタの国会周辺で、8月25日から学生たちが国会議員の高額な住宅手当に抗議の声を上げ始めた。やがて学生中心だったデモに労働組合なども合流し、治安部隊と衝突。28日には配達の途中で現場を通りかかった21歳のバイクタクシー運転手、アファン・クルニアワンが警察車両にひかれて死亡する事件が起きると、人々の怒りが爆発した。
 抗議行動は激化し、インドネシア各地で政府庁舎や地方議会、警察施設などを狙った放火や損壊行為が相次ぎ、複数の死傷者を出す事態に発展した。
 暴徒化したデモ隊は30日、ジャカルタにある国会議員宅に押し入り、車を破壊し、高・・・

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