をんな千一夜 第104話
自由を求めた現実主義者
石井 妙子
2025年11月号
女性に参政権が与えられて80年という節目の年に、高市早苗が「初の女性総理」として名を刻むことになった。熱烈なファンもいる一方、タカ派的な言動の目立つ「女性初の総理」に複雑な思いを抱く人も少なくはない。
女性が参政権を得られたのは敗戦とGHQのお陰、だとよく言われる。確かにGHQによって棚ぼた的に与えられた権利だった。だが、戦前から婦人参政権運動(婦選運動)に命をかけて奮闘した女性たちがいたことは、決して忘れてはならない。その先頭に立っていた市川房枝は、こう語っている。
「国民の半数である女性の問題は、女性だけの問題ではない。男性の問題であり、社会の問題であり、国家の大問題である。であるのに今までは男子も、社会も、国家もこれを眼中に置かなかった。したがって男子中心の社会、男子中心の国家となり、そこから男性文明が生まれ成長してきた。しかし、時代はこの忘れられた半分を目覚めさせ、忘れていたものをも目覚めさせた。為政者もこの点に着目しなければ真の政治を行うことはできない」
市川は1893(明治26)年に愛知県中島郡明地村(現・一宮市)で生まれた。常に「貧しい・・・
女性が参政権を得られたのは敗戦とGHQのお陰、だとよく言われる。確かにGHQによって棚ぼた的に与えられた権利だった。だが、戦前から婦人参政権運動(婦選運動)に命をかけて奮闘した女性たちがいたことは、決して忘れてはならない。その先頭に立っていた市川房枝は、こう語っている。
「国民の半数である女性の問題は、女性だけの問題ではない。男性の問題であり、社会の問題であり、国家の大問題である。であるのに今までは男子も、社会も、国家もこれを眼中に置かなかった。したがって男子中心の社会、男子中心の国家となり、そこから男性文明が生まれ成長してきた。しかし、時代はこの忘れられた半分を目覚めさせ、忘れていたものをも目覚めさせた。為政者もこの点に着目しなければ真の政治を行うことはできない」
市川は1893(明治26)年に愛知県中島郡明地村(現・一宮市)で生まれた。常に「貧しい・・・









