三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月刊総合情報誌

社会・文化

「ルーヴル美術館」を蝕む重い病

「人類の宝物」は杜撰な管理下に

2026年5月号

 ルーヴル美術館の南側の壁を眺めながら、セーヌ川沿いの「フランソワ・ミッテラン通り」を東へと歩いていくと、建物に向かってスマホで写真を撮っている観光客の姿が見えてくる。カメラが向けられる先はルーヴル2階の角の部分、手すり付きバルコニーだ。通りを隔てた歩道では、ユーチューバーと思しき人物が三脚をたてたカメラに向かってライブ配信をしている姿も見える。世界を驚かせた窃盗事件の発生現場は、パリの注目スポットの一つとなった。
 昨年10月、電動はしご付き車両で乗り付けた犯行グループは2階バルコニーの窓を破って侵入、ナポレオン3世の時代のティアラやネックレスなど8点、8800万ユーロ相当を10分以内の早業で持ち去った。盗まれた宝飾品は事件から半年たった今も見つかっておらず、現場となった「アポロンのギャラリー」は閉鎖されたままだ。
《モナ・リザ》《ミロのヴィーナス》といった“アイコン”を含む50万点を所蔵し、常時3万点を展示しているこの巨大美術館は今、苦境に立っている。                      

「新ルネサンス」計画の俗悪・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます