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連載

をんな千一夜 第114話

明るい目さえもらえれば
石井 妙子

2026年10月号

 善行を積めば来世で報われるという考えは道徳的な生き方を人に授ける一方、差別を容認してしまう危険性をはらむ。
 かつて日本には瞽女と呼ばれる盲目の女性芸能集団がいた。村から村へ唄をうたって回り報酬を得る。東北や北陸地方を中心に昭和の半ばまで存在した。小林ハルは「最後の瞽女」と言われた人物で平成17(2005)年に105歳で長い苦難の一生を終えた。
「お前は目が見えないから三味線を覚えて、瞽女になって一生暮らすようにって、母から教えられた。何一つするのにも、つらい思い、厳しい勤めをして……。これまで生きてきたのが不思議なぐらいなもんだね」
 新潟県南蒲原郡井栗村三貫地(現在の三条市三貫地新田)に明治33(1900)年、ハルは4人兄姉の末子として生まれた。26世帯しかない小さな村だったが生家は庄屋で小作人も使用人も抱えており、暮らし向きは悪くなかった。
 生まれて間もなく白内障を患い、両目の視力を失ったハルは座敷の奥に閉じ込められて育った。盲人が身内にいることを、どの家も隠そうとしたのは、良くない行いを先祖がした報いだとさ・・・

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