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経済

ケンウッドがビクター解体に着手

所詮は救い難いコップの中の争い

2010年1月号

 名門ビクターがいよいよ企業名鑑から姿を消す可能性が出てきた。
「ビクターは河原一人に牛耳られ、解体は時間の問題だ」。名門企業、日本ビクターの社内からはいま、こんな悲鳴があちこちからあがっている。
 日本ビクターがケンウッドとの経営統合で、持ち株会社JVC・ケンウッド・ホールディングスの事業カンパニーとして再出発してから一年が過ぎた。ホールディングス発足当初こそ会長河原春郎、社長佐藤国彦とケンウッド、ビクターの各代表者が仲良く持ち株会社のトップを分け合ったものだが、半年後には佐藤が退任し、河原が社長を兼任した。さらに、昨年十一月には事業カンパニーである日本ビクターの社長吉田秀俊が取締役社長補佐に格下げされ、河原が代行、ものの見事に「河原独裁体制」ができあがった。日本ビクターはケンウッドの四倍の売上高を誇る。ケンウッド出身の河原がビクター出身の佐藤、吉田を退場させ、ビクター経営の舵取りをする様は、まさに小が大を呑み込んだという構図である。

独裁体制下での「構造改革」


 河原が果・・・