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経済

まさに「断末魔」の名門・三越

人も運も逃げ出した

2010年1月号

 三越伊勢丹ホールディングス(HD)傘下の三越が断末魔状態にある。リーマン・ショック以降、消費動向の急変を受け業績は悪化するばかりで、十一月に募集した希望退職では実に従業員の四人に一人が応募するという異常ぶり。まるで沈みゆく船から逃げるネズミの如しだ。しかもこのリストラ原資に充てようとした「池袋店」の売却代金が期限を過ぎているにもかかわらず入金されず、クビを切ろうにもそのおカネがないという前代未聞の事態に直面している。日本初のデパートメントストアを自負してきた名門・三越は、墜落寸前のダッチロール状態に陥っている。
 三越が昨年五月に閉店した池袋店。三越は米ゴールドマン・サックス系のシンプレクス・リート投資法人(SRI)に七百五十億円で売却し、後釜には家電量販店トップにのし上がったヤマダ電機が入居、「日本総本店」といういささか誇大妄想的な旗艦店へと衣替えした。ヤマダの一宮忠男社長はオープン当初、既存のもう一店と合わせ「年間売上高八百億円を目指す」とぶち上げたが、これは池袋三越時代のおよそ四倍の規模であり、まさに小売業の「主役交代」を印象付けた。しかしこの裏には、三越も予想・・・