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連載

Book Reviewing Globe 連載 308 

米中「融合」を受け入れられるか

2010年1月号

 米国政府は、リーマンショック後の不況対策として二〇〇九年に入ってから一兆ドルの財政刺激策を発表したが、その資金の調達についてメディアはほとんど注目しなかった。当然のことながら米政府はドル債を発行して資金調達をしたのだが、その主たる買い手は中国だった。米国と中国の経済はこのようにすでにもちつもたれつの関係、つまり「融合」している。
 それは、マクロにおいて、中国が世界最大の米ドル債の保有国となったことに劇的に示されているが、それ以上にミクロにおいて、顕著である。
 その典型は、ウォルマートである。ウォルマートが全米で売っている商品のうち中国からの輸入額は、米国の対中輸入全体の一五%を占める。もし、ウォルマートが国ならば、それは中国にとって世界で六番目に大きな輸出国である。ウォルマートは中国製品の輸入だけをしているのではない。積極的に中国に進出している。〇五年までに六十店舗に広げた。そこでメード・イン・チャイナの米国商品を大量に売っている。次にめざましいのはナイキだろう。〇四年、ナイキは中国で毎日新しい店舗を一・五店舗開店していた。
 ウォルマートやナイキの・・・