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社会・文化

今も息づく「社交倶楽部」

入会は容易でないが

2010年2月号

 来年一月、東京・麻布台に日本最大かつ最高に贅沢で、家族ぐるみで楽しめる会員制社交倶楽部が誕生する。三千五百名の会員を擁する東京アメリカンクラブが倶楽部ハウスの建て替えを終え、仮住まいの地・高輪の開東閣(旧岩崎邸)隣接地から戻ってくるのだ。「失われた二十年」と言われ出口の見えない日本の景気低迷。しかし、世相の喧騒から離れ、静かな時間を過ごせる別天地が都心にはいくつかある。一部のエスタブリッシュメントにのみ許される特権だが、そんな人々が集い過ごす社交倶楽部とはいかなるものなのか。

民の交詢社、官の東京倶楽部


 銀座の中でもひときわ華やかな交詢社通り沿いに、通りの名前の由来である交詢ビルがある。建物は地下一階から五階までは店舗が入り、六階から八階までは事務所が入居。そして九階と十階を占めるのは財団法人交詢社。慶應義塾の創始者・福沢諭吉が設立した。
 福沢がその生涯で成し遂げた事業は三つ。慶應義塾、時事新報、そして交詢社だ。一八五八年に慶應義塾を創立した福沢は、その後訪米(六〇年)と訪欧(六・・・

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