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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》交通安全協会

「警察一家」極めつけの利権

2010年2月号

 自動車運転免許証を持っていれば、誰しもが「更新」という手続きを迫られる。その背後で免許更新「ビジネス」を一手に引き受ける交通安全協会(以下、安協)は、「手数料」の名目で濡れ手に粟でカネを稼ぐ。更新時に配られるテキスト利権には、大手の広告代理店なども喰い込み、儲けを分け合う構造ができている。

民間参入余地のない「おいしい事業」


 安協は全国組織である全日本安協(東京都千代田区九段南)を頂点とし、各都道府県の安協、さらに下部組織として各警察署のレベルに対応する市町村の安協もあり、全国に網の目のように張り巡らされ、しかもそのすべてに夥しい数の警察OBが天下っている。
 警察庁元幹部はこう言う。
「全日本安協の会長は名誉職として財界人らを迎えてきたものの、常勤の理事長は警視総監経験者が就くのが習わしです。専務理事や常務理事といった常勤役員も基本的にすべて警察官僚出身。全国各地の安協も同様で、いずれも常勤の事務方トップは地元都道府県警の幹部経験者が天下り、常勤職員も半数以上は各地の警・・・