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連載

Book Reviewing Globe 連載 309

米中は本物の「G2」となるか

2010年2月号

 二〇一〇年に入り、米中関係の前途に暗雲が立ちこめてきた。中国のミサイル防衛実験、台湾へのPAC3の輸出、オバマ大統領のダライ・ラマとの会談日程設定、そして、グーグルの顧客情報に対する中国政府筋のハッカー攻撃と続いている。
 オバマ政権の一年目は、リーマンショック後の世界金融危機を背景に、事実上の米中G2の登場をうかがわせる兆候が相次いだが、二年目は安全保障をめぐる葛藤が前面に出てきそうだ。
 ただ、長期的には米中関係は、世界政治を左右するもっとも重要な世界の二国間関係になることは間違いない。
 両国を引き寄せる磁力は、国際金融である。中国は対米貿易黒字で米国の国債を購入する。それによって米国は貯蓄以上の消費を楽しむことができ、中国は米国に輸出し続けることができる。お互い、ハッピーなのだが、その実、これはお互いを人質にしている状態にほかならない。米国が中国の人民元切り上げを望んでも、それを強行すればドル暴落を引き起こしかねない。核をめぐるMAD(相互確証破壊)をもじってMADE(相互確証破壊経済)などと呼ばれる所以である。
 米中間の人的交流も急・・・