三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

《企業研究》フジテレビ

老独裁者「日枝久」の朽ち逝く館

2023年11月号

 どんな組織も、崩壊していく道筋には共通項がある。トップが失敗の責任をとらない。責任逃れをしても、出世欲と保身で目の曇った取り巻きによって権力が温存される。トップはいつまでも居座り続け、新陳代謝が働かない―。こうした要素を全て抱え、組織の士気を下げるだけの老独裁者によって凋落の一途を辿っているのが、フジテレビジョンである。
 七月十日、フジテレビの新体制全体会議で会長・宮内正喜は「業績は深刻だ。緊急事態だ」と危機感を吐露した。持ち株会社フジ・メディア・ホールディングスの中核であるフジテレビの二〇二三年度第1四半期決算が、一七年度の第2四半期以来の営業赤字となったことを受けての発言だった。
 業界内の反応は「六年前の営業赤字の報には驚いたが、今回は『当たり前』と感じた」と冷ややかだ。それほど視聴率は長期低迷し、放送収入の落ち込みが止まらない。売上高に占める放送収入は約三〇%、残る約七〇%が放送外収入という厳しさは、放送収入が五〇%超の日本テレビとテレビ朝日、約四〇%のTBSと、他のキー局と比べれば一目瞭然だ。
 フジテレビからは、視聴者に支持される番組を制作・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます