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社会・文化

早くも支離滅裂「消費者庁」行政

トヨタ・リコール問題には目を瞑るのに

2010年3月号

 消費者庁が発足して半年。「消費者行政の一元的司令塔を担う」と掲げながら、現状はその掛け声とは程遠く、日ごとに迷走ぶりを加速させている。本来、行政指導などでリードすべきはずだったトヨタ自動車のリコール問題では、目立った対応を示さず事実上の「沈黙」。その一方で、ともすれば霞が関の内部でも埋没しそうな存在感をどうにか示そうと、企業広告の規制など着手しやすい仕事に血道をあげている。結果として早くも、企業活動そのものにも悪影響が出始めている。
 消費者行政は本来、公正取引委員会がきちんと仕事をしていればきちんと回るもの。何で屋上屋を架す「焼け太り組織」ができたのか。発足の経緯をたどれば、最初から「期待」は禁物であった。消費者庁は福田康夫内閣当時、食肉などの表示偽装などが相次ぎ、食の安全性が社会問題化したことで、その創設が場当たり的に打ち上げられた。しかも、その後も首相交代などのあおりを受け、組織の役割や方向性が曖昧なまま、発足が先送りされてきた。

消費者団体の代弁機関に


 こうした紆余曲折を経・・・