三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

アコムを切り捨てる三菱UFJ

「過払い」国家賠償に隠された深謀遠慮

2010年6月号

 過払い金返還問題で、貸金業者がついに法的手段に打って出た。四月三十日、盛岡市の元貸金業者が国を相手取って東京地裁に賠償訴訟を提起。支払い済みの過払い金だけで少なくとも三億円、納付済みの所得税や過払い金の影響による事業撤退などを含めると、賠償額はさらに増える見込みで、あとに続く業者が出てくれば前例のない巨額の国家賠償請求になる。
 貸金業金利を認めていた貸金業規制法(一九八三年施行)は、当時の大蔵省がお墨付きを与えていた法律である。それが、二〇〇六年の最高裁判例で貸金業金利は突如否定され、利息制限法上の金利と出資法で定める貸金業金利の差、いわゆる“グレーゾーン金利”は、払い過ぎた利息として利用者への返還を余儀なくされたのは周知の通り。法令を遵守していたのに突然悪者扱いされた業者は、この四年間不満を鬱積させていた。
 しかし、過払い金問題がメガバンクの経営に深刻な影を落としはじめたことで、にわかに流れが変わってきている。最も深刻な“被害者”は三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)。そのMUFGが、ここにきて・・・