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連載

本に遇う 連載126

それがどうした、宇宙行
河谷 史夫

2010年6月号

 はばかりながら宗教と趣味には持ち合わせがない。神と仏は信じない。ゴルフはしないし、山にも登らない。酒は呑むが、あれは趣味とはいわない。修行である。
 勤めをやめてひまだが、することはある。浮世の淀みに浮かんでは、かつ消え、かつ結ぶ泡沫を見聞してきた長年の習わしを急に廃することもできない。新聞を読み、テレビを見て、ラジオを聴く。
 寒暖定かならず、天候極めて不順であったこの春、まさに泡沫のような政治不順には辟易したが、結局あの程度の政治家しかつくれなかったと諦めるよりない。しょせん政治の水準は、国民の水準に見合っているのである。
 見通しは明るくない。参院選に、各党またスポーツや芸能の有名人を駆り集めている。誘うほうも誘うほうだが、その気になって出るほうも出るほうだ。実際政治上はただの泡沫で、集票装置の役割を期待されているだけのことである。
 幾度要請を受けても「餅は餅屋に」と言って断ったという元野球選手がいたという。その男を見直した。素人はもうたくさんだ。今の政界にほんとうに必要なのは、政治家としての玄人である。
 ところが、オリンピ・・・