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経済

トヨタの電気自動車進出は本気か

ハイブリッドのための危険なジェスチャー

2010年9月号

 ハイブリッド車(HV)の雄・トヨタ自動車もついに電気自動車(EV)の開発に乗り出す。二〇〇三年に創業したスポーツタイプのEVメーカー・米テスラ・モーターズと、スポーツタイプ多目的車(SUV)トヨタ「RAV4」ベースのEVを共同開発し、一二年に市販すると正式に発表したのだ。果たしてトヨタは本気でEV開発に踏み出したのか?
「テスラとの提携は、環境技術のさらなる向上を目指す上で非常に重要だ」―。今年五月、米カリフォルニア州パロアルト市で開いた提携会見で、トヨタの豊田章男社長はEV開発に強い意欲を示した。提携したテスラはシリコンバレー生まれのベンチャー企業らしく、奇抜な発想で知られる。
 EVで重要な技術は第一に電池、次にモーターだ。モーターについては車輪内にモーターを組み込むインホイールモーターの開発にノウハウが必要となるが、現時点では車体内にエンジンのように配置し、シャフトなどで動力を伝達する方式が主流。「しばらくは一般に流通しているモーターで十分通用する」と、EVに詳しい技術ジャーナリストは話す。「つまりEV開発の成否は電池開発にかかっている」。

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