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社会・文化

「コメ」を弄ぶ民主党族議員

もはや「理念」は消え失せた

2010年10月号

 菅直人改造内閣が発足した九月十七日、農相に鹿野道彦氏が起用される人事を聞いて、ほっとしたのはJA全中(全国農業協同組合中央会)と農林水産省幹部たちだ。
「農相の経験もある大ベテランで安心感がある」と異口同音に安堵の思いを隠さない。彼らにとって、元自民党農林族の大幹部で気心が知れた鹿野農相は身内も同然だ。
 鹿野農相は就任直後に「農村地域の現場の声を聞いてみたい。どなたとの意見交換も拒まない」と述べ、「JA敵視」を鮮明にしていた山田正彦前農相の路線を早速修正してみせた。
 菅改造内閣の発足では、もう一つJA全中にとっての朗報があった。玄葉光一郎・政策調査会長が留任、国家戦略担当相兼内閣府特命担当相(新しい公共)として閣内にも残り発言力を強めたことだ。JAグループの政治団体である「全国農業者農政運動組織連盟」(農政連)は、通常は自民党公認候補を推薦しているが、昨年八月の衆議院議員選挙では、例外的に民主党公認候補の玄葉氏を推薦した。JAにとって玄葉政調会長は敵対関係を深めた民主党とをつなぐいわば「命綱」なのだ。
 民主党の看板政策である「農業者・・・