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社会・文化

対馬や五島に忍び寄る中国の影

もはや未確認の噂ではない

2010年11月号

「通訳付きで来とっとよ。上(対馬)の方の山ば買いに……」
 ママさんは小声で教えてくれた。
 対馬での韓国資本の跋扈はつづく。スーツに身を包んだビジネスマンは通訳を引き連れ、商談目的で入国する。競売物件には日本人名で参加し、高値で落札する。馴染みのスナックでは、日本語はわからぬが手指しで注文する。手慣れたものだ。釣りには繋留させた自前のクルーザーで行く。
 そんな対馬に一年ほど前から中国資本の噂が立った。上海から来たバイヤーは、山林用地の物色に興味をもつという。
「競売に山が入っとらん。先にもう処分したっちゃろ……」
 島を出る人は、屋敷、畑、山のすべてを手放すはずだが、競売リストに山が挙がっていない。だから、競売の前に山林ブローカーに売ったはずだと島民は言う。山林買収は密かに進んでおり、しかも島を出るだれもが生活に困った上での切羽詰まった売却だから、売り手は買い手を問わない。
 対馬の不動産は今、草刈り場の様相を呈している。中国資本の参入により、対馬は韓国の独壇場・・・