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経済

《クローズアップ》長谷川聰(川崎重工業社長)

「インフラ輸出」で真価問われる

2010年12月号

 日本の産業界に「インフラの時代」が戻ってきた。道路、鉄道、電力などのインフラ整備を担った企業群が、今度はグローバル市場で強い競争力を発揮し始めている。経済成長に伴いインフラが不足する新興国、途上国はもちろん老朽化したインフラの再構築を図る米欧などで、需要が急増しているからだ。
 その代表格が「シンカンセン」ブランドを武器に世界に鉄道車両を売り込む川崎重工業であり、長谷川聰社長の打ち出す戦略に日本の産業界全体が注目している。長谷川氏は発電用のガスタービンやジェットエンジンの設計などに長く携わり、世界市場で勝負してきた。鉄道などインフラは必ずしも専門ではないが、グローバル戦略には最適のトップといえる。
「新幹線の川重」の名前を世界に広めたのは、二〇〇四年の中国向けの高速鉄道車両の納入。JR東日本の「はやて」型をベースに、現地生産した。反日デモが頻発していたが、中国は欧州のシーメンス社製とともに川重の車両を受け入れた。
 アジアでは中国だけでなく、ベトナム、マレーシア、タイなど高速鉄道計画が目白押し。ベトナムの計画は日本への発注が固まったものの、共産党やズン政・・・