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経済

《クローズアップ》長谷川閑史(経済同友会次期代表幹事・武田薬品工業社長)

「評論家集団」から脱皮できるか

2011年1月号

 この春、老齢化の目立つ財界に活きのよい論客が登場する。四月に退任する経済同友会の桜井正光代表幹事の後任に、武田薬品工業の長谷川閑史社長が内定した。長谷川は談話で「グローバルな戦いの中で日本企業が存在感を示し、勝ち残っていくための具体的提言を行い、先頭に立ち経済界を引っ張っていきたい」と意気込みを示した。
 武田薬品は日本を代表する優良企業の一つであるが、重厚長大型が多い財界の主流派から見れば新顔に近い。長谷川自身、現役社長という制約もあり、これまで目立つ存在ではなかった。だが、長谷川を知る企業トップらの評価は高く、「彼に議論で勝てる者はいない」(同友会幹部)と期待する声が多い。たとえ方向の定まらない議論でも「解」を求めて意見を収斂させようと努め、現状維持では満足しない。現実と理想の中間より少し上に目線を置き、改善に向け戦略を練り、一手を打つ。そんなタイプだ。
 大学生の「就活早期化問題」ではその片鱗を見せた。長谷川は日本製薬工業協会のトップとして、会社説明会を大学四年生直前の春休みの時期まで繰り下げるよう、業界に号令をかけた。採用開始時期の繰り下げを提起した日本貿・・・