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WORLD

凋落する米国「プロテスタント」

大統領選へも深刻な影響

2011年8月号

 米国は「宗教国家」である。十九世紀のフランスの政治学者アレクシス・ド・トクヴィルは、名著『アメリカの民主主義』のなかで、共有すべき歴史も文化も持たない米国がどのように団結を維持できるのかとの問いに対して、「国家統一の役割を担うのは宗教である」と答えている。
 これは、現在でも基本的に変わっていない。米国社会や政治を真に理解するには、宗教を知ることが不可欠である。そして、現在の「宗教地図」は、来年の大統領選にも強い影響を与える。

カトリックも増加


 米国国勢調査局が発表している最新の宗派別内訳では、対象となった成人の国民のうち、七五・九%がキリスト教徒である。「プロテスタント」に分類されるのは五〇%強と過半数を超えている。キリスト教の他の宗派では、「カトリック」が二五%を占めている。キリスト教以外では、ユダヤ教の一・二%、イスラム教の〇・六%、仏教の〇・五%と続く。また、無神論を含めた「無宗教」と答えた比率は一四・九%だ。米国がプロテスタントの国であることが改めてわかる。
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